じぶんらしさとは手に入れるものじゃなくて、
元々持っている
じぶんにとっての「ふつう」を愛すること。
「好きだから、こうする。」そんな気持ちに正直に、
毎日をじぶんの色で生きる、
30人の女性たちのインタビューをご紹介していきます。
STAY MYSELFInterview Questions for そで山かほ子
そで山かほ子
イラストレーター
“「ふつう」って、なんだろう”
ずっと続けられる仕事がしたくて、“手に職をつけたい”と職人に憧れていました。
「今からでも自分にできることってなんだろう」と考えて、絵を描くことが好きだったので、安西水丸塾を受講して、今はイラストレーターとして活動しています。
安西水丸先生から学んだのは、“生き方”でしょうか。
先生は全ての人に平等に優しく、作品の良いところを教えてくれる。
「生活の全てが作品に繋がるんだよ」ということを教わった気がしています。
私が描く絵は、自分が好きなアンティークや旅がインスピレーションになっています。
STAY MYSELFInterview Questions for そで山かほ子
自分が好きな“絵を描くこと”が仕事になって、それを介して色々な人と出会える、今の仕事を幸福に思っています。
もちろんやっていくなかでストレスもあるけれど、自分の個展用に好きな絵を思いっきり描くことで、日頃の鬱憤を晴らしている感じ。
絵で感じたストレスを絵で発散しているんですね。
様々な絵の具を使って、色を作っている時が一番好きな行程です。
作品を見た人も、色が印象的だと言ってくれるのでそれが私らしさなのかもしれません。
STAY MYSELFInterview Questions for そで山かほ子
描きたいのは、目にした人が笑顔になるような、そして自分の部屋に飾りたくなるような作品ですね。
私にとっては、“居心地が良いこと”がとても大切なんです。
絵を描いているときもそうありたいし、こうしてお気に入りの喫茶店「トロッコ」でお茶をしてほっと一息つく時間も欠かせません。
居心地が良い時間を持って自分の気持ちをリセットし、“ふつう”を取り戻すことで、人の笑顔を生み出すような作品を描き続けていきたいです。
STAY MYSELFInterview Questions for 兎丸愛美
兎丸愛美
ヌードモデル
“「ふつう」って、なんだろう”
ヌードモデルとして活動し始めたのは、19歳のとき。
それくらいの年頃って不安定だから漠然と希死念慮のようなものがあったのか、急に「ヌードの遺影を撮ろう」と思い立ったんです。
そうしてカメラマンに頼んで、ヌードを撮影することに。
そしたら森の中で深呼吸しているような開放感を感じることができて、不思議と気持ちが軽くなりました。
自分が嫌だなと思っている部分さえも思い切ってさらけだしてしまったことで何かが吹っ切れたのかもしれません。
遺影のつもりで撮影したヌードのおかげで、生きやすくなったんです。
STAY MYSELFInterview Questions for 兎丸愛美
映画の主演なども務めさせてもらいましたが、「女優」と呼ばれることには慣れなくて、「ヌードモデル」と呼ばれた方がしっくりきます。
脱ぐまではすごく人の目を気にして生きてきましたし、始めてからも抵抗がすぐになくなったわけではありません。
でも親に話して認めてもらってからは、「自分の大切な人がわかってくれていれば、他の人になんと言われても気にしなくていい」と思えるようになりました。
自分や周りの大切な人が傷つかないかどうかが、仕事を選ぶ基準です。
STAY MYSELFInterview Questions for 兎丸愛美
私のことをフォローしてくれている年下の子から「兎丸さんに憧れて、ヌードモデルをやってみたい」と言われることがあります。
そういうときには、「誰かに憧れて何かを初めても解決しないよ」と伝えるようにしているんです。
みんなそれぞれが特別で、“ふつう”のものさしは人によって全然違う。
私はヌードになることで楽になったけれど、生きるためにどんな手段が必要かは、自分で見つけないと意味がないと思うんです。
STAY MYSELFInterview Questions for 三澤世奈
三澤世奈
江戸切子職人
“「ふつう」って、なんだろう”
江戸切子の職人として、「SENA MISAWA」というブランドをやっています。
堀口切子の作品を見たことがきっかけにその美しさに惚れ込み、弟子入りを志願したのですが一度は断られてしまいました。
一度は別の仕事に就いたのですが、諦めきれず、3年後に再度アタックし、念願叶って職人の道へ。
切子は歴史ある文化ですが、あまりそこにプレッシャーは感じずに活動ができているのは、挑戦することや変わっていくことを一緒に面白がってくれる師匠のおかげです。
STAY MYSELFInterview Questions for 三澤世奈
「SENA MISAWA」で大切にしているのは、自分が“心地よい”と思うトーン。
普段の食卓に馴染むシンプルなものが欲しくて、マットな質感のデザインや、切子の常識からすると少し外れているような「たったそれだけ?」とぐるりと一本線を入れるだけのデザインの器も作っています。
ドイツのバウハウスを訪れたときにはその色彩感覚に影響を受け、原色を使ったシリーズを作りました。
自分の感覚に真面目でいることが、「SENA MISAWA」らしさに繋がっているのかなと思います。
STAY MYSELFInterview Questions for 三澤世奈
よくも悪くも、真面目なところが私らしさかもしれません。
あんまりうまくサボれないので、近しい人から見たら「あ、またキャパオーバーしてる」とバレてしまっていると思います(笑)。
でも江戸切子に出合ってからは、圧倒的に幸せですね。
どの作業工程も興味深く、自分の技術不足からくるストレスもあるけれど、それも含めて“好き”なのだと思うようになりました。
作業中にはメガネをかけていることもあります。このメガネは軽くて、作業がしやすいですね。
STAY MYSELFInterview Questions for 村上華子
村上華子
ヨガインストラクター/薬膳フードデザイナー
“「ふつう」って、なんだろう”
会社員として働いていた時代に、ルーティンワークや事務作業が苦手だと気づき自分のやりたいことをやろうとヨガの道に。
トレーニングの期間を経て、同期の仲間たちと“ハスヨガ”というヨガスタジオを立ち上げました。
ヨガは自分自身と向き合う世界。始めてみると、今までは友達や彼氏などの周り人々に頼って、自分の外側に幸せを求めていたということに気づきました。
本格的にヨガに取り組むようになってからはより本質的に自分と向き合うことができるようになり、外側に助けを求めなくても自分の中で解決できるようになったと思います。
STAY MYSELFInterview Questions for 村上華子
4年ほど前、ヨガのイベントで薬膳の講師をやっているという生徒さんに出会い、薬膳に興味を持つように。
自分の子供が1歳くらいで病にかかり入院したこともあって、食事療法には興味があったんです。
ヨガは取り組んだ本人しかケアできないけれど、薬膳ならば私が気をつけることで周りの人も一緒にケアできる。
今までは体に良いものを取り入れようと“足す”ことしか知らなかったのですが、詰まっているものを流すという“引く”分野も大事だということを知りました。
ヨガと薬膳ほど相性のいいものはないと思っています。
STAY MYSELFInterview Questions for 村上華子
私がヨガインストラクターとしてデビューした当時、 “ヨガインストラクターはこういうものだ“という、ステレオタイプなイメージに左右される風潮にすごく違和感を覚えました。
例えば、「ヨガのインストラクターなのに、お化粧しているんですね」と言われることがあったりして……。
20代の頃から今に至るまで、”楽しいことが好き“という本質は全く変わっていなくて、今の自分にあった楽しみ方をやっと見つけた感じ。
決まっているものに無理に合わせようとしないで、好きなものは好きと認めることが心も体も健康になると思っています。
STAY MYSELFInterview Questions for 楠田ひかり
楠田ひかり
一橋大学大学院生
“「ふつう」って、なんだろう”
学部生だった頃に大学の仲間たちと文芸誌『文鯨』を2 号発行し、今は大学院でイギリスの作家・ヴァージニア・ウルフの研究をしていますが、本に囲まれた環境で育ったというわけではなく、文学研究を始めたのも学部4年からでした。
ヴァージニア・ウルフの作品と出合って、私的な経験が、場所や時代を越えて他の誰かの経験にもなりうるという文学の力を知ったんです。
それからは自分でも文章を書き始めるようになりました。
STAY MYSELFInterview Questions for 楠田ひかり
文学を研究する道に進むまでは、ファッション研究をしようと思っていたこともありましたし、大学院の修士課程を出たら就職することも考えていました。
それを「遠回りしてしまった」と思っていたけれど、ある時、作家の川上未映子さんがトークショーで「“あのときあれを選んだ自分は、心底考えた”と思えれば、後悔のしようがない。
それが私は本当の意味でのキャリアだと思う」とおっしゃっていたのを聞いて、自分のこれまでの選択を肯定できるようになったんです。
STAY MYSELFInterview Questions for 楠田ひかり
母が仕事も家事もすべて負担していたことが、自分の育った家特有の問題ではなく社会の問題だとフェミニズムを学んで気がつきました。
それを母に話したのですがうまく伝わらなくて……。でも、それぞれが生きてきた時代の“ふつう”や経験は異なるので、わかりあえないことも当然。
「わかりあえない」というのは諦めではなく、自分と同様に、相手にもその人にとっての“ふつう”があると肯定することだと思います。
自分にとっての“ふつう”は、ある意味自分らしさ。それに自分で気づくことは難しいから、常に周りの声に耳を傾けて、ときには変化も大事にしたいです。
このメガネはとても軽くて、つけていることを忘れてしまいそうですね。
STAY MYSELFInterview Questions for 花盛友里
花盛友里
フォトグラファー
“「ふつう」って、なんだろう”
写真家として活動している中で、女性たちがコンプレックスを隠すように生きていることに気がつきました。
「そのままでも綺麗なのに隠すなんてもったいない!」という思いで作ったのが、普通の女の子の普通のからだを記録した「脱いでみた。」というヌード写真集。
撮影のときは “みんなのありのまま”を肯定することを意識しています。
多かれ少なかれ誰もがコンプレックスを持っているけれど、そこも素敵に見えるように撮影して「綺麗だよ」と伝えたり、チャームポイントを探しています。そうやって自信に繋がる糸口を見つけたいんです。
STAY MYSELFInterview Questions for 花盛友里
被写体のみんなを撮りながら肯定していくうちに、「自分のことも認めてあげなきゃ」と思うようになりました。
垂れたおっぱいも肉割れも、全部生きてきた証で美しい。
自分の写真を加工して表面だけを取り繕うことがとても簡単な今の時代、ありのままの体を肯定する“BODY POSITIVE”の考え方は、広まってきてはいるけど、まだまだマイノリティです。
もっとその考えが浸透してほしいし、みんなにも自分がポジティブになることで起きる変化を感じてほしいです。
STAY MYSELFInterview Questions for 花盛友里
「脱いでみた。」で会う女性はほとんどが初対面。
緊張させる隙も与えず会って3分後には撮影を始めちゃうんです。
そんな風に準備もなく始まる撮影は、整った環境でやる撮影に比べるともちろん苦労も多い。
だけど恥ずかしそうだった女性たちが、私の撮影で自信を取り戻して笑顔で帰っていく姿を見ると私の方が励まされます。
難しい撮影だけど、自分も自信を持てるようになったし得られるものの方が大きいんです。
このメガネも飾らない私でいられるようなものを、直感で選びました。
STAY MYSELFInterview Questions for 和田夏実
和田夏実
インタープリター
“「ふつう」って、なんだろう”
両親共にろう者で家庭の第一言語が手話だったので、幼い頃から日本語という音声言語と手話を同じように習得しながら育ちました。
今は東京大学の博士課程への進学を控えながら、“インタープリター”という肩書きで仕事をしています。
一般的には通訳者や翻訳者などを指す言葉ですが、私はツールキットやゲームを開発したりデザインすることで、コミュニケーションにまつわる様々な要素、例えばグーグル翻訳では溢れてしまうニュアンスのようなものを当人間で齟齬なくやりとりできるようにしたいと思っています。
STAY MYSELFInterview Questions for 和田夏実
手話って、すごくチャーミングな表現。
例えば、「食べる」ということひとつとっても、日本では箸を動かすような動作になりますが、アメリカではパンを食べるような動作で、文化によって表現が異なります。
手話を習得しながら無意識的に「自分の体で表現する」ことの可能性を感じていたように思いますし、学生時代にインタラクションデザインやメディアアートと出会い、身体の拡張性や “メディアは作れる”ということを知りワクワクしました。
その気持ちも、今のインタープリターとしての仕事のモチベーションに繋がっています。
STAY MYSELFInterview Questions for 和田夏実
幼い頃、「第一言語が手話」である家庭はマジョリティではないと認知してからは、「手話ができるのすごいでしょ」と得意気だったそうです。
初めて恋人ができたときには「もしもこの人と結婚したら、我が家の第一言語は日本語だけになるんだ」と思って新鮮でしたね。
両親がろう者だということは、例え社会的には“可哀想”だとされても、自分自身にとってはゼロの地点。
誰もがゼロから世界を編んでいくことができるというのは、“救い”でもあります。
“自分らしさ”を最大化した状態を“ふつう”と呼びたいと思います。
STAY MYSELFInterview Questions for 甲斐みのり
甲斐みのり
文筆家
“「ふつう」って、なんだろう”
本に囲まれて育ち、子供の頃から夢は「本にまつわる仕事」。
本を開けば想像の世界に没入できて、好きなものに触れられることを魅力的に感じていました。
雑誌のライターから始め、自分が好きな物事を突き詰めた文章を書きたいと思い、今では「旅」や「贈り物」、「お菓子」など様々なテーマで書籍を出版しています。
自分自身が好きな対象物に対しての熱量がすごく高いことを知っているからこそ、読者に届ける文章では、重くなりすぎず、くどくなりすぎず、できるだけ軽やかなかたちで魅力を伝えたいと思っています。
STAY MYSELFInterview Questions for 甲斐みのり
文筆を生業にしていますが、未だに「文章を書くのは苦手だな」と思うことがあるんです。
でもだからこそ、その下手な部分を“想い”でカバーしています。
お菓子が好きだと「味にこだわりがある」と思われるのですが、私は見た目にときめけば、味までも好きになってしまう。
極端な話をすれば、味が口に合わなかったとしてもそのお菓子を嫌いにはならないし、それも好きのうち。何か好きな物があったら、愛で尽くす。
それが“自分らしさ”を作るのだと思います。
STAY MYSELFInterview Questions for 甲斐みのり
“こけし”について書いた文章を読んだ方から「これを“かわいい”って言っていいんだって自信が持てました」と感想をいただいたことがありました。
私は自分の“好き”に対して時間を使うことを素敵だと思うから、それを伝えたくて本を書いています。
人と比べることもせず、ネガティブな要素ばかり見るのではなく、自分の機嫌を自分でとるために、好きなものを身の回りにおいて暮らす。
“好き”と感じる対象が人それぞれ違うことは“ふつう”です。
自分にとっての“好き”や“ふつう”を愛でていきたいです。
STAY MYSELFInterview Questions for 秋貞美際
秋貞美際
フラワーデザイナー・花屋migiwaオーナー
“「ふつう」って、なんだろう”
IT企業で秘書として働いている時、“自分らしく働くって?”とわからなくなり、焦ってたんです。
さまざまな業界への転職を考えた末、秘書の業務の中で目を向けた「花屋」の世界に飛び込むことに。日本での準備期間を経て、パリのフローリストに弟子入り。
帰国後すぐに独立しましたが、資金はほとんどなく、このまま続けられるかもわからない状態で。
そんな時にブーケをオーダーしてくれたのが元上司だったんです。
違う業界に行っても応援してくれる人がいると知り、とても心強かったし、この仕事は絶対に続けていこうという大きな励みになりました。
STAY MYSELFInterview Questions for 秋貞美際
たくさんの色を使いすぎずトーンを合わせること、自然の景色を切り取ったようなデザインを意識すること。
この2つは自分らしい表現をするために大切にしています。
あとは、仕事だけでなく、プライベートもおろそかにしない。
花は日常を豊かにしてくれるものだから、生活に余白のない人が花を使って表現しても説得力がないと思うんです。
気晴らしに散歩に出たり、道端に咲いている植物を観察したり。
忙しいときこそ、身近な自然に触れて息抜きしています。
STAY MYSELFInterview Questions for 秋貞美際
“ふつう”ってポジティブにもネガティブにも取れる言葉ですよね。
仕事に対して“ふつう”と言われると停滞しているように感じますが、生活を営む上で“ふつう”を考えると、とても尊いことだと感じます。
落ち込んだり、不安に押しつぶされそうになっても一日の最後には“なんとかなる”ってフラットな気持ちで終えられるような。
それが私にとっての理想の“ふつう”です。
暮らしに寄り添う花を提案しているので、今日選んだメガネも同じような感覚で、悪目立ちせず、どんなスタイルにもなじむデザインに惹かれて選びました。
STAY MYSELFInterview Questions for 土屋きみ
土屋きみ
フードディレクター
“「ふつう」って、なんだろう”
新型コロナウイルスの影響で食関連のイベントやケータリングがなくなってしまって、最近はフードエンターテイメントグループ「NEW YOLK」や、引退後の養鶏の行き先を考える「鶏革命団」として活動したり、飲食関係のプロデュース業に積極的に携わっています。
食べることも好きだけど、同じくらいかそれ以上、“人”が好き。だから作り手の熱意を多くの人に知ってもらいたいと思うし、これからも自分が好きな食べ物と人を繋げていきたいです。
STAY MYSELFInterview Questions for 土屋きみ
もともと食べることは好きでしたが、夢はエンターテイナーでした。
周囲が就活に励むタイミングで、ツテもないまま単身NYへ。
食専門のPR会社でインターンを始め、そこで出会った恩人に「NYでやりたいことを書き出して」と言われてリストを作ってみました。
見たいものや行きたいところと比べて、圧倒的に長い「食べたいもの」のリストを見たその人に「あなたが何が好きかは一目瞭然じゃない!食って一番のエンターテイメントよ」と言われたことが心に響き、 “食”を仕事にしようと決意しました。
STAY MYSELFInterview Questions for 土屋きみ
直感的に「楽しそう」と感じた方に進んだ結果が今に繋がっているのですが、その中には“ふつう”とは逆の決断も多かった。
でも、私はそれが強みだと思っているんです。
例えば海外に住んでいたから帰国子女の枠で進学できたり、就活真っ只中の時期に渡米したことで食の仕事と出会ったり、この体型だから人に覚えてもらえたり……。
“ふつう”の枠から外れることを恐れずに直感を信じたおかげで良かったことがたくさんある人生のようです。
だから、このメガネも直感で選びました。
STAY MYSELFInterview Questions for 山瀬公子
山瀬公子
デザイナー
“「ふつう」って、なんだろう”
幼少期にファッション雑誌で見た長沢節さんのファッションイラストに憧れて、「セツ・モードセミナー」に入学しました。
アメリカのファッションに惚れ込み、卒業後に単身渡米。当時は情報も少ないし、「女の子が一人でアメリカなんて行って大丈夫!?」と周りの男の子たちにも心配されたけれど、気にも留めなかったですね(笑)。
アメリカでは、日本人のパートナーと出会い、「古着屋をやろう」と決めて、アニメーターの仕事をしながらお金を貯めました。
「自分が着て楽しい古着」を部屋がパンパンになるまで買い付けて、帰国後に古着屋「Par Avion」をオープンしました。
STAY MYSELFInterview Questions for 山瀬公子
古着屋「Par Avion」は、ファッション好きに愛される店になりました。
自分自身でリメイクした洋服が雑誌『装苑』の目に留まり、スタイルブックを出版。
そうして、自分のブランド「les Briqu'a braque」や、そのプレタポルテライン「MATRIOCHKA」を持つようになったんです。
私の根底にあるテーマは、“ボーダーレス”であること。国や年代で、ファッションを区切るのはナンセンスだと思っています。
かっこいいことをやっている人は、顔が違うでしょう?
その人が考えていることはスタイルに現れるし、ファッションには内面に影響を及ぼすパワーがあるとも信じています。
STAY MYSELFInterview Questions for 山瀬公子
青山で、アトリエショップ「Casa yama」をオープンしました。
他の店ではなかなか見かけない色使いや、オリジナルプリントの洋服たちと出会えますよ。
私たちの時代には、ひとつの流行にみんなが飛びつくことが“ふつう”だったけれど、今は細分化されたことで個性的なファッションを楽しむ人も増えていて、それはとても素敵なことだと思います。
アイウエアは、せっかくつけるならばおもしろいものが好き。普段は、フレームにボリュームがあるものを付けているけれど、今日選んだものは少しシンプル。
色や柄にインパクトがあるものとも合わせやすそうですね。
STAY MYSELFInterview Questions for 水野綾子
水野綾子
編集者
“「ふつう」って、なんだろう”
東京の出版社で編集者として働いていたのですが、父が体調を崩したことをきっかけに、実家である熱海のお寺を継ぐことを決意。
熱海に移住し、東京と行き来する2拠点生活をスタートさせました。地域におけるお寺の役割も、今の時代に合うかたちにアップデートできるのではないかと可能性を感じたんです。
人から「(決断が)大胆だね」と言われることもあるけれど、自分としては、できることからグラデーションで次のステップへ移行しているだけ。
でも「他人から見た自分」を窮屈に感じることはなくて、むしろ新鮮に感じます。
STAY MYSELFInterview Questions for 水野綾子
お寺は地域コミュニティの中心的役割であると感じたので、街づくりにも積極的に関わるようにしました。
そこから熱海の企業と首都圏の人材を“複業”で繋げる「CIRCULATION LIFE」というウェブサイトを立ち上げ、その活動を通して新しい生き方の可能性を日々発見しています。
基盤はあくまでもお寺ですが、動くことでどんどん新しい世界が見えるようになりました。
大きくジャンプするのは勇気がいるけれど、小さく動き続けていると変化自体に慣れていく。そうやって、新しい自分の“ふつう”ができていくことが面白いと思っています。
STAY MYSELFInterview Questions for 水野綾子
東京の生活を知っていて、現在進行で仕事も続けているからこそ気が付ける熱海の魅力もありますし、逆も然りです。
熱海で暮らしていると、無条件に「熱海っていいところだよ」と言いたくなりますが、なるべくフラットな視点を失わないようにしたい。
それはひとつの環境にいては気づけない感覚です。
お寺を継ぐためにまだまだ勉強しないといけないこともたくさんあるのですが、それもまた楽しみです。
アイウェアは好きで、シンプルなファッションのときにはプラスしたくなりますね。
べっ甲のフレームがコーディネートのポイントになってくれそうなので、このメガネを選びました。
STAY MYSELFInterview Questions for 松永玲子
松永玲子
カメラマン
“「ふつう」って、なんだろう”
結婚するまではシステムエンジニアとして働いていました。
その当時は、とにかく“安定”が欲しかったんですよね。
でも出産を経験し、子供と一緒に過ごすうちに「大切な子供と離れる時間を作ってまで、やりたい仕事ってなんだろう」と考え直すようになりました。
子供にも自分が好きなことをしている姿を見せたいと思い、昔から好きだった写真を仕事にしようと決意したんです。
今は会社に所属して幼稚園などに出向き、子供の行事の写真を撮ったり、個人で依頼された仕事を受けて写真を撮っています。
STAY MYSELFInterview Questions for 松永玲子
環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんの「あなた方は、自分の子どもたちを愛していると言いながら、その目の前で子どもたちの未来を奪っています」という言葉に感銘を受けました。
自分の今の行動が「可能性の塊」である子供の未来を左右する危機感を持って、ビーチクリーンに参加したりプラスティックフリーな生活を意識したり、プラントベースの食生活に切り替えました。
「周りからどう思われるか」が気になることもありますが、多くの人に現状を知ってほしいし、今の社会システムを変えないといけないと思う気持ちが勝るので、オフラインでもオンラインでも声をあげています。
STAY MYSELFInterview Questions for 松永玲子
仕事のことも環境のことも、自分が持っている違和感にうすうす気がついてはいたけれど、変えられないと決めつけてそのままにしてきたように思います。
でも子供というひとつの命を授かり、違和感から逃げずにちゃんと向き合おうと決めました。
これまでは「こうしておけば変な目で見られない」という「ふつう」の枠を自分で作っていたのかもしれません。
今は、自分の心に忠実でいたい。私にとっての「ふつう」を大切にしたいと思っています。
メガネは、フレームが軽くてナチュラルに着けられるところが気に入りました。
STAY MYSELFInterview Questions for 大芦実穂
大芦実穂
ライター
“「ふつう」って、なんだろう”
地元から上京して憧れのライター業に就いたばかりの頃は、
「新しいわたしになりたい」と意気込んでいました。
テンションを上げて社交的に振舞ったりして、周囲に合わせて少し背伸びをしたのかもしれません。
東京での暮らしに少し疲れてきた頃、縁があってタイに移住してみたら、向こうで出会った人たちがみんな大らかで、
私も「そんなに頑張らなくても良かったかも」と思うようになったんです。肩の力が抜けましたね。
STAY MYSELFInterview Questions for 大芦実穂
タイで生きやすさは感じたけれど、時間が経つにつれ「私、何がしたかったんだっけ」という脱力感もありました。
ちょうどその頃に帰国を決め、東京でライターの仕事に復帰。
魅力的な人や事柄について世の中に発信できることが嬉しくて、改めて仕事が好きだなと感じています。
遠距離恋愛になった恋人は、アーティストで“マイワールド”を持っている人。
たまに彼と話すことで強張りがほぐれて、「じぶんらしさ」を取り戻せている気がします。
STAY MYSELFInterview Questions for 大芦実穂
振り返ってみると、突然タイへの移住を決意したり帰国を決めたり、自分の気持ちには素直に生きてきました。
それでも20代のときは周囲からの目線を気にしてしまうこともあったけれど、
今は自分は自分でしかないし、それで良いと思っています。
昔からファッションはユニークなものが好きで、鮮やかな色の服を着ることが多いです。
洋服もパキッとした色味のものが多いです。
シルバーフレームのメガネは、今着ているブルーのニットとも合うので選びました。
STAY MYSELFInterview Questions for ナタリー・カンタクシーノ
ナタリー・カンタクシーノ
モデル・フォトグラファー
“「ふつう」って、なんだろう”
日本に来たのは7年前。大阪と東京でオフィスワークをしていたけれど、「自分が好きなことにチャレンジしよう」と思って、
2年前にフリーランスになりモデルとフォトグラファーの仕事をしています。
私は、自分に対しては自分が一番厳しい。
作品に満足いくことがないから、人に見せるのもあまり好きじゃなかったんです。
でも仕事にして、一度作品を世に出してもそこから分析することで成長できると知りました。
STAY MYSELFInterview Questions for ナタリー・カンタクシーノ
自分の完璧主義な部分も、決して悪いことばかりじゃないと思っているんです。
作品のクオリティを上げるために努力できるし、
微妙な電波をキャッチするから、他人の機微にも気が付ける。
少し前は仕事の量と満足度は比例していると思っていたけれど、
今は、自分が好きなことをやれる幸せを実感しています。
不安は完全には消え去らないけれど、余計なプレッシャーはなく、あとは自分と闘っていくだけですね。
STAY MYSELFInterview Questions for ナタリー・カンタクシーノ
自分が何をしている時が幸せかは、自分が一番わかっていると思います。
今は好きなお店で食事をして様々な人とコミュニケーションをとったり、
東京のおいしいモーニングを探しに行くのが好き。
小さい頃は、一人の世界に入っていくのが好きな子供だったそうです。
このメガネは、当時見ていた古い映画に出てくる女優がかけていそうなノスタルジックなムードを感じるところが気に入りました。
STAY MYSELFInterview Questions for 伊藤紺
伊藤紺
歌人、ライター
“「ふつう」って、なんだろう”
短歌を作り始めたのは、大学生の時。
大学で新しいコミュニティーの人々と出会い、
コミュニケーションのなかで考えをパッと言語化できない自分にもどかしさを感じていました。
それが蓄積されてモヤモヤしていたときに、短歌に出会い、自分でも書き始めてみたら瞬く間にのめり込みました。
限られた文字数のなかで悩みながら作り上げていく過程で、通常の話し言葉では漏れてしまう気分や感情を、言葉に浸透させていくことができると気付いたんです。
STAY MYSELFInterview Questions for 伊藤紺
短歌を始めた当初は、友人にそのことを言っていなかったんです。気恥ずかしくて。
でも書き溜めていくうちに「読んでほしい」という気持ちが膨らんでいって、見せるようになりました。
誰かの「じぶんらしさ」って、他人はそこまで気にしていないと思うし、自分自身が把握していると思っていても全体のほんの一部だと思います。
認知して言語化するとそれに縛られてしまうけれど、結局自分は自分でしかないし、それはとても微妙なニュアンスです。
「これがじぶんらしさ」と理解できるなんて、思わない方がいいような気がします。
STAY MYSELFInterview Questions for 伊藤紺
日常生活で起きたことへの捉え方も変わりました。
例えばつらいことがあっても、短歌にしたらその奥にある気持ちで誰かと共鳴しあえるかもしれない。
短歌は他の文章ともまた異なり、「歌」と名が付いている通り、音の運びや、リズム、人間の声がもつ力のようなものがあるところが好きですね。
映画を見るときにはメガネをかけています。
フレームが華奢だけれど存在感があるところが気にいって、これを選びました。
STAY MYSELFInterview Questions for 水村里奈
水村里奈
コンテンポラリーダンスアーティスト
“「ふつう」って、なんだろう”
幼少期からクラシックバレエを習っていて、高校入学時にコンテンポラリーダンスと出会いました。
コンテンポラリーダンスは、自分で正解を探り、そして見つけた正解をさらにどんどん更新していくもの。
それまでは型を大切にするバレエをやっていたので、はじめはすごく難しかったけれど、
自分を解放していく感覚にあっという間に夢中になりました。
自分の動き全てが表現になるので、日常で何を見て何を感じるかに意識的になりますね。
STAY MYSELFInterview Questions for 水村里奈
コンテンポラリーダンスでは、表現にタブーがないんです。
何をやってもいい。
「それがあなたのダンスなのね」と違いを認める文化があるので、私自身も他人に対して寛容になれた気がします。
一方、他人から「水村さんっぽいね」と言われる表現と、自分が今このときに表現したいこととの間にある時差にも気が付きました。
他人が認知しているのは、すでに過去の私で、「じぶんらしさ」はどんどん変わっていくものなんですよね。
STAY MYSELFInterview Questions for 水村里奈
フリーのダンサーとして活動しながら、YouTubeやInstagramで発信し始めました。
はじめはダンサー仲間に見られることに抵抗があったのですが、それよりも「知ってもらいたい」という気持ちが勝りました。
私自身が救われたから、より多くの人にコンテンポラリーダンスを知ってもらいたい。
クスッと笑える動画やファッションの面でもフックを作りたいと思っています。
このメガネは軽いので、動いているときにかけても気にならないですね。
STAY MYSELFInterview Questions for 石坂奈月
石坂奈月
アーユルヴェーダ セラピスト
“「ふつう」って、なんだろう”
今はアーユルヴェーダの勉強をしていますが、元は美容師でした。
働き始めたときには「周りのみんなに負けたくない!はやく一人前になりたい!」という思いでついつい頑張りすぎて、体を壊して入院してしまったんです。
それまで当たり前だと思っていた“健康”の素晴らしさを知り、それから他人と自分を比べたり、焦ることがなくなりました。
好きなように動けて、ごはんをおいしいと感じられて、それだけで十分幸せなんですよ。
STAY MYSELFInterview Questions for 石坂奈月
アーユルヴェーダとの出会いは、美容師を辞めてヘアメイクとして活動しているとき。
休暇中のスリランカ旅行で体験した“シロダーラ”に感銘を受けたんです。
すっかりのめり込み、帰国後に見習いとして雇ってくれるサロンを探しました。
休日にもワークショップに通い、今も日々勉強中。
ヘアメイクの仕事も楽しいけれど、もっと没入できることを見つけてしまったんですね。
大人になってから好きなことを勉強できる幸せを噛み締めています。
STAY MYSELFInterview Questions for 石坂奈月
施術の訓練はもちろん大切ですが、今は新しい知識との出会いが何より楽しい。
アーユルヴェーダには長い歴史があり、概念的なことから実践的なことまで、学ぶべき事柄が山ほどあるんです。
根を詰めすぎてしまうタイプなので、公園でゆっくりと本を読む時間を作ってリフレッシュするようにしています。
このメガネをして読書をしていると、視線を落としたときにチラリと色が見えるのがおしゃれですよね。
STAY MYSELFInterview Questions for Polly Fern
ポーリー・ファーン
陶芸家・イラストレーター
“「ふつう」って、なんだろう”
私はイギリス東部のノリッチで生まれ、今もサフォークで暮らしています。
幼い頃に住んでいたのは、祖父母が営んでいた農場の一角。
森に冒険に出かけたり、祖母のシルクのスカーフや宝石を身につけて農場を駆け回ったり、夢のような時間を過ごしていました。
学校を卒業したらロンドンに行く道もあったけれど、そうはしませんでした。都会にいた方が成功への近道かもしれない。
でも、その分きっと色々なプレッシャーがあるでしょう。
私にとってはそれが創造力を制限することになると思うし、それに何よりも田舎暮らしが大好きなんですよ。
STAY MYSELFInterview Questions for Polly Fern
私がありのままでいられるのは、何かに集中している時。
SNSを介して色々な情報も入ってくるし、普通に暮らしているだけでもプレッシャーや辛さを感じると思うけれど、他の誰かが作った物や他人の成功に心を乱されないようにすることが重要です。
自分を不安な気持ちにする人や、自分自身を劣っていると思わせるような物事は全部ブロックして、フォローを外しましょう。
そして人生の中で自分を満足させてくれるものや、小さくても大きくてもいいから何かを達成することにフォーカスするんです。
全てを忘れて没頭する時間はとてもクリエイティブで、それが私の「じぶんらしさ」を作っています。
STAY MYSELFInterview Questions for Polly Fern
私は小さい頃からクリエイティブで、素敵なクリスマスカードを作って周囲の人を驚かせていたりしたようです。
祖母のコレクションである、鳥や牛の陶器に囲まれて過ごしたことも影響しているんでしょうね。
いつも仕事の依頼を受けると、まずは何も考えずにイメージが湧き上がるまま手を動かします。
今回のコラボレーションもそう。そうして誕生した「シヴィル」というキャラクターは、アンティークが好きで犬と一緒に暮らしていて私に少し似ています。
このコラボレーションと出会った人には、カラフルで楽しい気持ちになってもらいたいですね。