シンプルなものから普遍的なデザインへ。映像作家・TAKCOMが作る偶然のメガネ
広告映像やアーティストのミュージックビデオにライブを演出するステージ映像、さらには大規模なプロジェクションマッピングまで。映像作品を中心に活躍するディレクター・アートディレクター、TAKCOMさん。Perfumeの3rd TOUR「JPN」やカンヌ国際広告祭で本人たちのパフォーマンスと合わせて披露されたステージ映像や、テレビCMにも使われて話題になった「Tell Your World」livetune feat.初音ミクのMV。ゆずのイメージを一新した「表裏一体」のMVディレクションも手掛けています。TAKCOMさんが2012年に映像ディレクターとして取り組んだ、東京駅の新駅舎を使って行われたプロジェクションマッピング「TOKYO STATION VISION」は、美しい記憶として残っている人も多いのではないでしょうか。無機質な記号を使って映像やグラフィック製作を行うことを得意とするTAKCOMさんに、JINS PAINTを託してみました。

JINS PAINTアプリにあるすべての機能を試しながら確認し、可能性を広げていく

見えにくい場所をデザインするということ
コンピューター上に生み出される、直線や円。TAKCOMさんによって生み出されたデジタルの世界は、ときに風景や生物のようにも見えてきます。JINS PAINTという新たなツールを手に、一体なにを表現してくれるのでしょうか。

「オリジナルのメガネを作れるって聞いて、『マニアックだな』って思いましたね。メガネってファッションアイテムではあるけど、模様がすごく描き込まれたようなデザインのものってそんなに多くないから。形や色で選ぶことが多いアイテムにあえて、模様や写真をデザインする。しかもテンプルだから、顔の横にくるパーツですもんね。よく見ないとわからない部分だからこそ、逆にデザイン心に火がつきました」

丸のスタンプだけを使っているうちに、
早速オリジナルの迷彩柄が完成

モチーフをシンプルにすれば普遍的になる
まずは遊びながらJINS PAINTの機能を確認していきます。得意とする幾何学模様を使って、次々とデザイン。MVなどでもよく使われている幾何学模様ですが、好むようになったのにはある理由があるのだそう。「子供の頃に熱を出してうなされていたとき、目の前にパターンみたいなものが見えたことがあって。しかも見えたものをいまだに覚えているんです。見たことのないものを見たから、衝撃的だったのかも」

TAKCOMさんが使う、一見無機質な記号たちがどこか生き物のように思えるのは、そんな不思議な原体験のおかげなのかもしれません。「形って複雑にするほど賞味期限が短くなってしまうけど、シンプルなものっていつまでも記憶に残る。モチーフはなるべくシンプルにして、普遍的にするのが僕のやり方のひとつかもしれません。今ここで使っている円も、何でもない形ですよね。でも円が嫌いという人はいない。ポピュラーなものを使って、誰も見たことがないものを作るのが楽しいんです」

作った柄にエフェクトをかける。強弱も自由自在。
TAKCOMさんが気に入った機能のひとつ

偶然から生まれる未知の世界
TAKCOMさんの手によって生まれる模様は、世界にひとつしかない模様。偶然が偶然を呼ぶことで、誰も見たことのない作品が生まれようとしています。「普段の作品作りの中でも、意図せず偶然できるものってあるんですよ。もちろんいろんな人とじっくり話し合って作っていますけどね。僕自身、見たことあるものは避けたい、自分が見たことのないものを見たいという思いが強いというのもあるのかもしれない。そういうものって、僕だけじゃなく誰が見ても驚くし、楽しんでもらえると思うので。だから偶然は大事にしていますね」

その偶然を呼び込むのは、TAKCOMさんならではの独自のセンスの賜物。JINS PAINTで気になった機能を聞くと、「スタンプを拡大するだけで面白いし、メッシュツール(※1)もいいですね。作ったデザインや画像に、さらにエフェクトがかけられる。これも、誰も見たことのないデザインにつながりそうです」。誰も持っていないオリジナルのメガネを作る。TAKCOMさんもJINS PAINTも、目指すところは同じなのです。

(※1)※1:JINS PAINTで利用できるエフェクト機能のひとつ。10段階でエフェクトの掛かり具合を調整可能。

短時間で3本ものデザインが完成。
その中から特にお気に入りの1本をチョイス

「目の周りに流れる風」をメガネにデザイン
TAKCOM×JINS PAINTの世界にひとつだけのメガネが完成しました! 風の流れを視認化したような、美しい繊細なグラフィックです。「新聞の天気図のように、“見た目の印象は同じだけど、毎日少しずつ違う”ということをデザインしてみました。具体的には、目の周りで起きている風の流れ。テンプルの形を元に、CG上で風のシミュレーションを繰り返してグラフィックを作りました。内と外で違う表情を持たせようと、外側は動きの流れを強調するためにモノトーンに。内側には人の肌に近いサーモグラフィーのような色味を使いました」
「アプリで色々と遊んでみましたが、いくらでもグラフィックのパターンが作れてしまいそうでした。指先でいじっているだけで直感的にグラフィックができたし、画像を使えることで可能性が広がる。パソコンで作った画像でも使えるのはいいですよね。自分が好きなものって、これからもずっと変わらない。それをベースにして、たとえば誕生日が来るたびに色を変えたり、少しずつアレンジするのも面白そう。自分が年を重ねるのと同じように、刻々と変化していくようなメガネを作り続ける……なんていうのもいいですね」

Profile
TAKCOM
(映像作家)

映像Director 、Art Directior。これまで数十ヶ国のアートフェスティバルやギャラリーへの参加/作品招待等を通して、国内外から高い評価を得る。2013年には「森ビル 六本木ヒルズ –TOKYO CITY SYMPHONY」(映像演出担当)でカンヌ国際広告祭Cyber部門 SILVER受賞、2014ADFEST PROMO LOTUS/GOLD受賞、D&AD AWARDS Yellow Pencil受賞。
http://www.takafumitsuchiya.com/

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